ベストなキャリアをつくり出す。―登録販売者のための転職支援サービス―
2009年の資格誕生以来、医薬品に限らず、サプリメント、健康食品などの幅広い知識を生かして、顧客の「健康のトータルサポート」を担っている登録販売者。ドラッグストア業界は、登録販売者が活躍する代表的な就職先です。店舗数は年々増加しており、登録販売者の需要は今後ますます高まっていくことが予想されます。市場規模や展望などをしっかりと追って、業界の知識を深めましょう。
2018年度のドラッグストア店舗数は1万8,874店舗、市場規模は7兆2,744円。10年前と比較すると店舗数は約1.3倍、市場規模は1.4倍に拡大しています。
くわしくはドラッグストア売上高ランキング(2017年版)を参照
その背景にはあるのは、大手チェーンを中心とした新規出店、M&Aによる積極的な出店戦略です。
下記の総店舗数のグラフの通り、総店舗数が増加する一方で業界内の企業数は減り続けています。2018年度もその傾向は変わらず、総店舗数は前年度より694店舗増えて2万228店舗、総企業数は7社減って409社でした。
店舗規模の拡大が企業の業績に大きく影響することから、こうした業界全体の動きは今後しばらく継続していくといえそうです。
登録販売者による第二類・第三類医薬品の販売を可能とする2009年の薬事法改正を受けて、コンビニエンスストアやスーパーマーケットでも医薬品の取り扱いがスタートしました。2017年4月にはインターネットでの医薬品販売も可能になり、インターネットショッピングサイト大手のAmazonが参入。近年、小売業界の販売シェアを拡大しているネット通販が医薬品業界にも本格的に参入し、医薬品のインターネット販売は市場規模を大きく伸ばしています。
こうした激変の波に流されないためにも、ドラッグストアは独自性と利便性の強化がこれまで以上に必要となってくるでしょう。いかに地域・顧客から信頼され、登録販売者が「生活のトータルサポーター」として役割を発揮できるかが生き残りのカギといえそうです。
ドラッグストア業界の成長要因のひとつに、商品バラエティの拡大があります。2018年度のカテゴリー別の売上構成比は各種医薬品や健康食品を含む「調剤・ヘルスケア」が31.3%ともっとも多く、化粧品などの「ビューティーケア」が20.8%、日用雑貨を中心とした「ホームケア」が21.2%、生鮮食品や菓子類、文具などの「フーズ・その他」が26.7%となっています。
近年、大手チェーンを中心に各社が力を入れているのがプライベートブランド(PB)の展開です。PB商品は一般的に粗利率が高く、販売価格や仕様変更のコントロールが容易といったメリットがあり、各社「美容」と「健康」をキーワードに独自の商品開発に乗り出しています。
2013年に掲げられた「日本再興戦略」において、国民の健康寿命の延伸のためにセルフメディケーション の推進が提唱されました。ドラッグストアはその主力のひとつとして、行政から注目されています。
こうしたなか、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は2017年3月、「次世代ドラッグストアビジョン」を策定しました。当案では、地域住民の健康維持管理に寄与し信頼されるドラッグストアとして確立することを目的とした、「街の健康ハブステーション構想」を掲げています。
要点は下記の通りです。
ドラッグストアが満たすべきサービスや商品、システム、健康サポート機能について業界基準を設け、基準を満たした店舗は「健康サポートドラッグ」として認定されます。OTC医薬品販売時の服薬指導やサプリメントのアドバイス、健康相談など、ドラッグストアが地域住民の健康維持・予防の支援に積極的に取り組むことが求められています。
商品やサービスに精通しているだけでなく、店舗内で解決できない健康相談などについて、適切な地域の専門家・施設・事業者へと橋渡しができる人材。「街の健康ハブステーション構想」におけるキーマンとして地域の医療機関や関連事業者と連携できる人材が求められています。
さらに、JACDSは2018年3月に経済産業省と共同で「ドラッグストア スマート化宣言」を策定。
JACDSが目標としている「2025 年までに10兆円市場の達成」を実現するための改革案として、ドラッグストアの取扱商品を電子タグで管理を提唱しています。
これにより棚卸しや在庫管理などの業務を効率化し、生まれた時間は顧客対応の充実や、新サービスの創造に充てるのが狙いです。
OTC医薬品/健康食品/化粧品のカウンセリング販売
健康相談
レジ打ち
清掃
ポップの作成
クレーム対応 など
商品管理(発注、倉庫管理、期限チェック など)
陳列、棚替え、売り場作成、広告商品展開
売価の検討、変更
売上管理
登録販売者の業務内容は「健康相談業務」「販売員業務」「店舗運営業務」に大別できます。
健康相談とは、生活のトータルサポーターとして顧客の健康相談にのり、最適なOTC医薬品(第2類・第3類)やサプリメント、健康食品などを提案します。場合によっては、医療機関の受診勧告も行います。
薬剤師も登録販売者も店舗にいない場合、その店舗では医薬品を販売することができません。ドラッグストアを運営するうえで、登録販売者は欠かせない人材となっています。
一方で、小売店の販売員としての業務も担います。レジ打ちやポップの作成など、その業務は多岐に渡ります。棚卸しや在庫管理などの店舗運営に関する業務も当然疎かにはできません。特に、店舗の売上管理など経営面に精通することは、登録販売者が店長やマネジャー層へとキャリアアップしていくうえで不可欠です。
ドラッグストア業界は、22時終業など営業時間の長い店舗が多く、近年は24時間営業型の店舗も増えています。そのため、働き方は2交代ないし3交代のシフト制が一般的。営業時間の長時間化に加えて、店舗数も増加していることから人材が不足しており、登録販売者の需要は拡大しているのが現状です。
概要で触れた通り、ドラッグストア業界は全国に展開している大手チェーンによる寡占化が進んでいるため、勤める企業によっては遠方への転勤を指示される可能性もあります。
「転勤はしたくない」という人は、「地域限定社員」制度の有無を調べておきましょう。地域限定社員とは、年収が全国転勤可能な社員よりも低く、福利厚生に一部制限がある代わり、異動は通勤可能圏内に限られる雇用形態です。近年、ライフステージが変化しても、退職・休職せずに長く働き続けられるよう、各社働き方改革を進めています。
企業規模ごとのキャリアパスに大きな差異はみられません。「販売員」から始まり、「店長」や「エリアマネジャー」へとステップアップしていくのが一般的です。また、「人事」や「採用」「商品管理」といった本部業務、プライベートブランドの商品開発などに従事する道もあります。
ドラッグストア業界は、化粧品の実演研修や介護用品の勉強会、マネジャー研修やセミナーなど、人材育成に力を入れている企業が多く見受けられます。こうした研修制度のサポートを受けつつキャリアをデザインできる点も魅力のひとつです。企業によっては、ジョブローテーション制度を導入しており、販売職に限らず幅広く業種を経験できるチャンスがあるので、自分のキャリアプランに合わせて職場を選びましょう。